知って安心!食品安全の基礎とメーカーの取組み | 川本フードナレッジオフィス

BLOG & INFO

加工食品 基礎知識 安全性 未分類 食品安全 食品添加物

知って安心!食品安全の基礎とメーカーの取組み

#基礎知識#食中毒#食品#食品安全#食品添加物

私たちの日常に欠かせない食品が安全であることは、生活の質に直結する重要な問題です。この記事では、食品の安全性についての基礎的な知識から、法律や規制、ゼロリスクの限界について解説しています。消費者として知っておきたい食品表示の読み方や食中毒を防ぐ方法、アレルゲン情報の理解が強調されており、安全に対する具体的なアプローチを学ぶことができます。また、食品メーカーが行っている安全管理システムや原材料のトレーサビリティ、従業員教育といった取り組みを紹介し、企業の目線からどのように安全が守られているのかを覗くことができます。他にも、消費者が不安を解消するための相談窓口の利用法や、安心して選ぶための製品選びのコツも提供し、消費者自身が積極的に安全を確保する術を学ぶことができます。この記事を通して、食品安全に対する理解と安心感を深められることでしょう。

食品安全の基礎知識

食品安全は、人々が食べ物を安全に消費できるようにするための重要な概念です。食品がどのように生産、加工、保存され、消費者のもとに届くのか、そのすべての過程において安全性が確保されることを目的としています。食品安全の担保は、健康被害を未然に防ぎ、消費者の安心を築く基盤となります。食品の安全性が確保されなければ、食中毒やその他の健康問題が発生するリスクがあります。

食品安全とは何か

食品安全とは、食品が人々の健康に悪影響を及ぼさないようにするための制度や取り組みを指します。具体的には、有害物質のや微生物の増殖を防ぐ(殺菌・静菌する)こと、加工過程での衛生管理を行うこと、そして食品表示の適正を図ることが含まれます。食品安全は、生産現場から消費者の食卓に至る全段階で品質と安全性を保証することが求められています。これは、企業・政府・消費者の三者がそれぞれの役割を果たすことで実現されます。また、食品添加物の利用の有無は加工食品における品質の良し悪しに関係はありません。

食品安全に関する法律と規制

食品安全を確保するためには、法律や規制が不可欠です。多くの国では、食品衛生法や食品添加物規制などが制定されており、それらに基づき基準やガイドラインが設けられています。例えば、日本では、食品衛生法に基づき、食品の製造、流通、消費過程での衛生基準が厳格に定められています。これにより、有害な化学物質や微生物の混入を防ぐ体制が整えられています。また、食品表示法により、消費者が商品情報を正しく理解し、選択するために必要な情報が提供されることも義務付けられています。

ゼロリスクはありえない

食品安全において、重要な考え方の一つは「ゼロリスクはありえない」ということです。どれほど優れた予防策を講じたとしても、完全にリスクを排除することは不可能です。科学的根拠に基づくリスク管理が求められ、現実的なリスクの低減と容認可能なリスクのバランスをとることが重要です。例えば、食品添加物に関しても、一定の基準内での使用が法律で認められており、それが許容界限を超えない限りは健康に問題がないと考えられています。このようにリスクを完全に除去することは不可能であるため、消費者も食品安全への理解を深め、賢い選択を心がけることが求められます。

また、食品メーカーや販売者においても、科学的根拠のない「無添加だから安全」「●●不使用」といった言葉で消費者心理を煽り、他社を貶めるようなマーケティングをすることは避けるべきと考えます。

一般消費者が知っておくべき安全ポイント

現代の消費者にとって、食品の安全性は極めて重要な関心事です。本記事では、一般消費者が日常的にチェックするべき食品安全に関するポイントを掘り下げ、健康的な生活を送るためのヒントを提供します。

食品表示の見方

食品を購入する際、食品表示を正しく読むことが大切です。食品表示には、製品の内容、原材料、栄養成分、保存方法、賞味期限などが記載されています。特に、原材料リストはアレルゲンや添加物の特定に役立ち、栄養成分表示はビタミンやミネラルの摂取量を管理する助けとなります。表示に含まれるカロリーや脂質、糖質の情報は、特にダイエットや健康管理を重視する人にとって重要です。消費者庁の「食品表示法」のガイドラインをもとにした知識を活用し、表示情報をきちんと理解して選択することが必要です。

食中毒の予防法

食中毒は食品中の微生物や有害物質によって引き起こされ、健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。予防のためには、調理前後の手洗いや、食材の適切な保存、調理中の加熱処理が欠かせません。生肉や生魚を扱う場合、特に注意が必要です。また、調理器具やまな板は食材ごとに分けて使用し、細菌の交差汚染を防ぎましょう。特に夏場は菌が増殖しやすいため、早めに食事をするか、迅速に冷蔵保存することが推奨されます。

アレルゲンの情報

食品アレルギーは一度発症すると重篤化する恐れがあります。アレルゲン情報は消費者が安心して食品を選ぶために不可欠な情報です。主要なアレルゲンとして、卵、乳、小麦、エビ、カニ、そば、落花生などがあります。これらは食品表示にて明確に記載されており、過敏症のある方はこれらの表示を注意深く確認する必要があります。アレルゲンを含む食品は多くの加工食品にも使われているため、成分表示だけでなく、枠外記載などにも目を通しての可能性を理解して購入しましょう。

有無ではなく摂取量が大事

食品の安全性において、有害物質の「有無」ではなく「摂取量」に注意することが重要です。食品安全基準は人体に影響が出ない範囲を考慮して設定されており、ゼロにすることが必須ではありません。例えば、食品添加物や農薬残留の基準は、摂取しても即座に健康に問題を引き起こさないように設計されています。過剰摂取を避けるため、バランスの取れた食事を心掛けることが、長期的な健康維持に繋がります。

食品メーカーの取り組み

食品メーカーは、消費者に安全で高品質な製品を提供するために様々な取り組みを行っています。現在、食品安全は製品開発から流通までのあらゆる段階で重要視されており、多くの企業が最新の技術と厳格な基準を用いて管理を行っています。ここでは、その中でも特に注目されている三つの取り組みについて詳しく解説します。

安全管理システムの導入

食品メーカーの多くは、安全管理システムを導入することで製品の安全性を確保しています。特にHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)システムは、危害要因を分析し、重要な管理ポイントを設定して継続的に監視することで知られています。このシステムは、一般的な衛生管理よりも一歩進んだ手法で、特に高リスクの食品で多く用いられています。また、ISO 22000のような国際規格を満たすことで、企業はより広範囲での市場信頼を得ることができます。

原材料のトレーサビリティ

食品の安全性確保には原材料のトレーサビリティが欠かせません。トレーサビリティとは、製品がどのように生産され、どの経路をたどって消費者の手に渡るのかを追跡可能にする仕組みを指します。これにより、問題が発生した場合でも迅速に対象の製品を特定し、回収することが可能です。バーコードやRFID技術を活用した追跡システムが広く取り入れられ、消費者は製品の来歴情報を確認することで安心して購入することができます。

従業員教育とトレーニング

安全な食品を提供するためには、従業員の教育とトレーニングが非常に重要です。食品メーカーは、従業員に対して定期的なトレーニングを実施し、安全に関する知識や最新の技術・規制を把握させています。特に製造現場での新しいプロセスや危害要因の管理方法について、具体的な事例をもとに実践的な指導が行われています。例えば、アレルゲン管理やクロスコンタミネーション(異物混入)の防止、微生物制御に関するトレーニングは、食品の安全性を維持するために欠かせない要素です。

総じて、食品メーカーは科学的かつ多角的なアプローチによって食品安全を確保しています。これにより、消費者は安心して製品を購入し、使用することができるのです。科学技術の進歩とともに、この取り組みは今後ますます重要となるでしょう。

消費者のための支援とアドバイス

私たちの生活に欠かせない食品には、安全性や品質において多くの疑問や不安を持つことがあります。この章では、消費者が安心して食品を選び、消費するための支援やアドバイスについて詳しく説明します。

消費者相談窓口の利用法

食品に関連する疑問や問題がある場合、消費者相談窓口を利用することが推奨されます。これらの窓口は、消費者に対して商品情報の提供や問題解決のアドバイスを行います。利用するためには、まず、食品の包装に記載されている問い合わせ先や公式ウェブサイトを確認することが第一歩です。また、地方自治体が運営する消費生活センターも頼りになる相談窓口です。消費者庁などの政府機関は、消費者の権利を保護し、不公正な取引や商品に関する問題の解決を支援しています。これらの窓口を通じて、消費者は必要な情報を得たり、適切なアドバイスを受けたりすることができます。

安心できる製品選びのコツ

製品選びにおいて、安全性を確保するためには、いくつかのコツを意識することが重要です。まず、商品のラベルや成分表示を注意深く読むことです。これには、賞味・消費期限、成分(アレルゲンなど)、安全基準の表示があります。また、表示に記載のある適切な調理方法で喫食することで安全に食事を楽しむことができます。さらに信頼できる情報源からの情報は、製品の選び方や消費者の決定を支えます。こうしたステップを踏むことで、自信を持って日々の食生活を支える製品を選ぶことができます。

消費者は、これらの支援とアドバイスを活用することで、生活の質を向上させ、安全で安心な食品ライフを実現することができます。また、科学的な根拠を持つ情報ソースを活用することで、より賢明な消費行動を取るための礎を築けるのです。危険を煽る情報はネットや書籍に氾濫していますが、「何をどれだけ」といった摂取量に関する記述のない情報には気をつけましょう。

安易に「自然・ナチュラル=安全」「植物性は安心」と考えるのも危険です。あくまでイメージであり、自然物を摂取することによる食中毒は後を絶ちません。自然物も元をたどっていけば化学物質から構成されているのです。ご自分の体質を考えながら、なるべく多種類の食材を食べ、偏りのないバランスの取れた食生活を送ること、そしてなによりおいしく・楽しく食事をとることが一番の「安全な食事」への道なのです。

この記事の著者

川本 浩二

約30年にわたり食品業界に携わり、食品技術コンサルタントとして活動。
食品メーカー(添加物技術営業、品質保証)、流通(PB商品開発・品質管理)、業界誌紙記者(食品原材料・添加物、食品の分析・検査)、食品原料紹介・情報提供ITベンチャーなど加工食品業界で技術的な仕事に従事。
業界誌記者時代ではリスクコミュニケーションにも取り組み、食生活ジャーナリストの会(JFJ)に参加。2025年度は同会幹事。
最近では食品開発や品質保証サポート、ハラール認証に関連するコンサルタントや執筆業務などを行っており、食品添加物の利用法や安全性、加工技術、ハラールに関する相談事など、これまで経験してきたことを活かして食品業界の皆様に講演すべく活動中。

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2025 川本フードナレッジオフィス

CLOSE